※以降で説明する内容を研修テキスト形式で一括ダウンロードいただけます(PDF)

001 Myまっぷラン+(プラス)とは

自分の命を守るために 地域の未来を守るために・・・

「Myまっぷラン+(プラス)」(以下「MP+」という)とは、平成25年度の「Myまっぷラン」(川口淳准教授(三重大学大学院工学研究科)が提唱する住民一人ひとりが津波避難計画を作成するための手法)を基に、新しいシステムとして、

・対象とする災害を風水害・土砂災害にも拡張
・デジタルマップで自然災害リスクを確認し、避難経路・「Myタイムライン」を作成
・地区の避難計画の策定支援
ができるようにしたものです。これにより避難の地区防災計画の策定にもつなげられます。

この取組では、「住民一人ひとりの避難計画を住民自らが作成することから始め、ワークショップ(WS)*を通じて、地域全体の計画づくりにつなげていく」というプロセスが重要です。

*ワークショップ(WS):地区の検討の場のこと。内閣府『地区防災計画ガイドライン』によれば「まちづくり等のために、地域社会の課題に対する改善計画を作成する共同作業のことで、多くの関係者が参加し、自由に発言することにより、多様な意見が反映され・・・行政関係者、学識経験者等の専門家がファシリテーターとして関わ」ります。

個人の計画は、以下のシートになります
その1家族の連絡先等を記載
その1家族の連絡先等を記載
その2 地図 その3 Myタイムライン
その3 Myタイムライン
地区の計画は、右のような例が
あります。(内閣府「災害・避難カード」の例。課題によって形式は変わります)。
取組の課題
  • 地区の意向としては避難計画を作ると決めているわけでないこともあります。MP+は主にはデジタル技術を用いた地区の支援のための道具と言えます。地区側の意向に応じて使える機能を使いましょう。
  • 安全な避難に向けて、多くの地区で、また地区においてはできるだけ多くの地域住民の参加が鍵となります。様々な理由から参加できない(しない)方も見え、多数の参加を確実にすることは容易ではありません。
  • 計画を作成することがゴールではありません。少なくとも年に1回は訓練等を実施して、その有効性について検証を続け、必要に応じ計画を改定していくことが大切です。

002  取組・支援にあたって

(支援者(地区の役員のうち推進役の方・市町職員を含む)の皆さんを「指導役」といい、 原則として My まっぷラン+(プラス)の支援者向け研修を受講し登録が必要です。)
また、令和4年2月時点で本格的に動いていない部分は以下ではやや淡色文字としています。)

避難計画作成の取組は、自治会、自主防災組織が主体的に取り組むことが必要です。 そのうえで、防災についての専門的な知識やノウハウを有している指導役が、これらを適切 に支援して円滑に進行できるようにします。また、特に初期(初年度)は、市町が地区に積 極的に取組を働きかける等の地区に対する支援が期待されます。

1 指導役が精通していることが望ましい事項 (*5 引用者で一部抄録)

ハザードマップの入手方法 /ハザードマップから得られる情報の意味合い(レッド・イエ ロー 、被害規模、発生確率、想定など )/ハザードマップの適用範囲(想定外事象、問題) /自主的な避難行動の重要性/避難行動の一連手順/指定緊急避難場所、指定避難所、自主 の避難所の定義と用途・使い分け /避難所の開設手順等避難所の基本的な事項

2 活動時の条件

活動にあたっては、利用規約、プライバシーポリシーによる他、「みえ防災人材バンク」 設置要項・同バンク注意事項によってください(特に関連する部分を抜粋)

  • 第 15 条 依頼者及び登録者は、事業の実施にあたり、両者間で合意した条件の不履行等により、双方が損害を 被らないよう配慮しなければならない。
    2 事故等が発生した場合は、当事者間で誠意をもって解決にあたるものとし、みえ防災・減災センターはその責を 負わないものとする。
    3 登録者は、事業の実施にあたり、政治活動、宗教活動または営利を目的とした活動をしてはならない。
    4 この要項に定めのない事項及び要項に疑義が生じたときは、みえ防災・減災センター内において協議のうえ別に定めることとする。
  • 注意事項
    ②依頼者等への丁寧な対応 :・・・「やってあげる」ではなく、共に活動する謙虚な姿勢で支援・協力をお願いし ます。依頼者等の人格を尊重し、言葉遣いや態度も含めて丁寧な対応をお願いします。
    ③依頼者の立場になって考える : 支援に慣れてくると、つい自分のペースで行動しがちになります。自分の 考えを押し付けるのではなく、常に相手が何を求めているのかを考え、行動していただきますようお願いします。
3 指導役の活動形態
・MP+を用いる ア ハザードの認識 イ 個人計画作成 ウ 地区計画作成
 のそれぞれにおいて活動していただけます。
ウ 地区の計画を作成する場合 (様式0005 地区向けの促進文書例
・市町主働では、     ①市町からの支援要請により指導役が活動、
地区・指導役主働では、②地区からの支援要請により指導役が活動
                               ③活動する皆さんの自発的な活動      を想定しています。
左記3は((現状からいえば)最終的な形態で、当面は行政主働であり、行政側が主たる支援者となります。

・地区防災計画の作成に関しては一部に微妙な違いはあるものの、全市町が事前に防災担当課への相談を求めています。市町防災担当課・計画作成上の留意事項の表をご確認ください。

市町防災担当課 ・ 計画作成上の留意事項

■ このシステムを用いて地区防災計画素案の作成を考えている場合は、事前に各市町防災担当課にご相談ください。
特に桑名市と伊勢市は以下にもよってください。
・桑名市 : 地区防災計画の作成を考えている方は、防災担当者にご相談ください。
・伊勢市 : 地区防災計画の作成を考えている方は、防災担当課にご相談ください。

■ システムに関するお問い合わせは、サイト内のお問い合わせフォームをご使用ください。

各市町防災担当課(令和3年4月1日現在)

市町村名 担当課 電話番号 FAX番号 電子メールアドレス
桑名 桑名市 防災・危機管理課 0594-24-1185 0594-24-2945 bosaim@city.kuwana.lg.jp
いなべ市 防災課 0594-86-7746 0594-86-7859 h-ootsuki00@city.inabe.mie.jp
t-okazaki00@city.inabe.mie.jp
木曽岬町 危機管理課 0567-68-6101 0567-68-3792 kikikanri@town.kisosaki.mie.jp
東員町 環境防災課 危機管理室 0594-86-2824 0594-86-2851 kikikanri@town.toin.lg.jp
四日市 四日市市 危機管理室 059-354-8119 059-350-3022 kikikanri@city.yokkaichi.mie.jp
菰野町 総務課 安全安心対策室 059-391-1102 059-394-3199 soumu@town.komono.mie.jp
朝日町 防災保全課 059-377-5610 059-377-5661 bousai@town.asahi.mie.jp
川越町 総務課 059-366-7113 059-364-2568 k-anzen@town.kawagoe.mie.jp
鈴鹿 鈴鹿市 危機管理部
防災危機管理課  防災G
059-382-9968 059-382-7603 bosaikikikanri@city.suzuka.lg.jp
亀山市 防災安全課
防災安全G
0595-84-5035 0595-82-9955 bousai@city.kameyama.mie.jp
津市 防災室 059-229-3104 059-223-6247 229-3104@city.tsu.lg.jp
松阪 松阪市 防災対策課 0598-53-4313 0598-22-1055 bousai.div@city.matsusaka.lg.jp
多気町 総務課 0598-38-1111 0598-38-1140 soumu@town.mie-taki.lg.jp
明和町 総務防災課 0596-52-7110 0596-52-7133 soumu@town.mie-meiwa.lg.jp
大台町 総務課 0598-82-3781 0598-82-1618 soumu@town.odai.lg.jp
伊勢 伊勢市 危機管理部
危機管理課
0596-21-5523 0596-20-3151 kikikanri@city.ise.lg.jp
鳥羽市 総務課
防災危機管理室
0599-25-1118 0599-25-1138 bosai@city.toba.lg.jp
志摩市 総務部 地域防災室 0599-44-0203 0599-44-5252 chiikibosaishitsu@city.shima.lg.jp
玉城町 ・総務政策課
・防災対策室
0596-58-8200 0596-58-4494 bousai@town.tamaki.lg.jp
南伊勢町 防災安全課 0599-66-1704 0599-66-1904 bousai@town.minamiise.lg.jp
大紀町 防災安全課 0598-73-3318 0598-73-2738 bos@town.mie-taiki.lg.jp
度会町 みらい安心課 0596-62-2424 0596-62-1647 bosai@town.watarai.lg.jp
伊賀 伊賀市 総合危機管理課 0595-22-9640 0595-24-0444 kikikanri@city.iga.lg.jp
名張市 危機管理室 0595-63-7271 0595-64-0089 kikikanri@city.nabari.lg.jp
尾鷲 尾鷲市 防災危機管理課 0597-23-8118 0597-22-9343 kikikanri@city.owase.lg.jp
紀北町 ・危機管理課
・海山総合支所総務室
本庁:0597-46-3114
海山:0597-32-3901
0597-47-5909 kikikanri@town.mie-kihoku.lg.jp
熊野 熊野市 防災対策推進課 0597-89-4111
内線315,336,337
0597-89-4277 bousai-dp@city.kumano.mie.jp
御浜町 総務課 05979-3-0505 05979-2-3502 m-soumu@town.mie-mihama.lg.jp
紀宝町 総務課 防災対策室 0735-33-0335 0735-32-1244 bosai@town.kiho.lg.jp

 

4 取組・WS支援での共通事項

・地区においては一定の体制があることを前提として、指導役の皆さんが活動を支援するのが前提です。小さな単位で顔が見える関係ならゼロから始めることも考えられます。
・「計画の作成」というと何か難しく考えがちですが、地区等の避難に関する活動・ノウハウについて、今後に向け蓄積・共有できる枠組を、文字・図として示すことができればよく、「敷居」を低くして、続ける環(PDCA)の中へ地区の皆さんを巻き込みましょう。行政はともすれば、作ることに重きをおきがちですが、同等以上に続けられるように作ることが重要です。
・地域コミュニティ主体のボトムアップ型で展開することが必要で、それをする制度の枠組みに「地区防災計画」があり、避難計画単独でも地区防災計画になりえます。指導役の皆さんにおかれては、地区の自主性・自律性を引き出すことが求められ、地区の特性に応じ、継続的に実践や見直しができるものとするよう努めてください。地区防災計画についてはむしろ、地域コミュニティを維持するための「道具」のひとつといえるかもしれません。

・地区計画を地区防災計画として提案する場合は、地区居住者等が提案書を作成することが必要になります。ただ、代表性をWS参加者に求めるのは困難でしょう。自主防災組織等の役員等において、計画内容がメンバーで理解されていること、実効性をもつこと を前提に共同して提案することが現実的と思われます。

・WSでは以下の点を強調することが望まれます。意識的にしないとせっかくの情報が消えてしまうことになります。
●出された意見は、付箋に書いて、模造紙に貼りつけます。出された意見全てを書くようにしましょう。
●答えが出なくても、課題として残しましょう。   (この2項目 *3。次行も参照)

・場全体の進行を担う指導役の他、班別に実施する場合、各班にも指導役は必要でその役目は「議論をリードする必要はないが、交わされた話題の記録や話がとぎれた際の掘り起こしにあたる」また、付箋への記入は文章でも単語でもよく「参加者自体が書ければよいが、このような作業に慣れない人も多いので、班付きの指導役が主に担当する。人員に余裕があれば、メモ役を各班に配置するとよい」(*4。なお、文献中の呼称は一部引用者で改変)。人員の確保が困難なら班員に役割を担っていただく。

5 地区特性について

・当該地区特性の所在市町での位置づけをみるものとして、みえ防災・減災センターでは、 5 市について簡易な地区カルテを作成しています。一部は県が H28 年度に実施の自主防災 組織実態調査結果を活用しており、この調査結果は全市町分があります
・そのような資料やアンケート(様式 007)によりどこで何に取り組むかが検討されれば最善です。
・取組の初期の段階で地区の詳細状況を把握し関係者で共有します。(様式 008)

6地区に対する働きかけについて

(1)「5 地区特性について」も念頭に置き、働きかける相手方が「他人事ではない」と思っていただけるよう試みましょう。ちらし中面左上のような被災地の話は参照できそうです。

(2)H28年度の県の自主防災組織活動実態調査によれば、各種取組(要援護者・避難所運営マニュアル)をしていない理由の筆頭は「きっかけ・機会がない」であり、働きかけにより進む可能性がありそうです。

(3)他の活動が活発な地区では、それに関連付け働きかけるのも有効と思われます。
・平時の福祉の取組が活発なら →災害時のことも考えましょう
・集落の存続に関心が高いなら →未来の被災を想定し、その事前準備をしましょう
・商店街・地場産業に関心が高いなら →災害時の業務継続や地域貢献も考えましょう
・活動するさまざまな主体があるなら →防災対策を軸に主体間の連携を図りましょう
・子育て支援が活発なら →子どもの将来のどこかでの被災に備えましょう(特に地震)
・防災の取組がある属性の方に限定されているなら →他の方へも拡げましょう
・「防災訓練」はやっているなら →訓練の後に話題提供の場を設けるのもよいでしょう
・防災マップはできているなら →それを活用して次の段階へ進みましょう
・地震や津波への関心が高いなら →風水害・土砂災害のことも考えましょう
※参考文献 内閣府 H23.3『地域における防災活動のきっかけづくり情報・ヒント集』

(4)取組のできあがりのイメージは、様式としてシステムから入手できます。
※参考 令和3年3月の研修での地区役員等と促進役のロールプレイ演習の応答例を示します。
・すごい面倒みたい。手間がかかるのでは? -手間はかかるかもしれませんが、楽しみながら作っていきたいと思います
・こんなの作成して役に立ちますか? -役に立たなければ一番いいのです。役に立った時は大変な時です。あってよかったと言えるようにしておきましょう。
・高齢者ばかりで作成しても見直していくのができないです。 -お年寄りの人にも対応できるように、お互いが納得できるように作成していきましょう。

■ 様式類
・様式 005(WORD) 地区への促進文書(例)005 添付図(災いのあとさき)
・様式 006(PDF) Myまっぷラン+(プラス)ちらし
・様式006-2(PDF | PPTX) Myまっぷラン+(プラス)でできること
・様式 007(WORD | PDF) 地区向けアンケート(例)
・様式 008(EXCEL | PDF) 地区の状況確認表(例)

101 企画(はじめに)

地区の皆さんで検討して避難の地区ルールなどを作っておきましょう。
  1. 避難は地区として取り組むことで確実なものにできます。市町の防災計画にも位置付けられる「地区防災計画」の素案にできれば最善です。
    難しそうなら、「個人の取組」を地区で学ぶことから始めるのもよいでしょう。
  2. 地域で防災取組を進めるための基本的な項目は以下のとおりです
    (1) 地区の課題認識:できれば住民へのアンケートを行い実態を把握しましょう。
    (2) 方針・目標設定:(1)に応じて設定します。何年かかけるのも一手です。
    (3) 取組地区の選定:
    ・取り組む地区の単位は日常的な地域活動についてまとまった地域を考慮して設定します。
    ・基本的には自治会、自主防災組織の単位が適当と考えられますが、地域の状況に応じて決めることが必要です。なお、取組地区の規模が大きいとWSの参加人数が多くなりすぎ、運営が大変になりますので、地区を分割する等、規模が大きくならない工夫が必要です。
    (4) 取組体制の構築(コアメンバー):
    ・自分の命と地域の未来を守るため、地区が自律的・主体的に進めることのできる体制をつくりましょう。
    体制の例:・(既存の)自主防災組織等を活用
    ・新たな組織(既存組織内の新設部会を含め)を立ち上げ
    ・WSを行う前に、地域の防災に関わる様々な分野のリーダーをコアメンバー(検討メンバー)として人選し、WSの進め方を企画します。自治会や自主防災組織のほか、避難行動要支援者に関わる民生委員・児童委員、学校関係、地域の各種団体、消防団や消防・警察関係機関等が参加することが必要です。
    ・MP+を進めるための研修を受けた方を登録しますので、それらの方から支援が受けられます(試用時点では未登録)。また、地区の上位組織の役員等の方が研修を受け所管地区等で進めることもできるようにすることも検討中です。※WSの内容は「102企画(検討)」を参照
  3.  進行の工夫
    (1)学識経験者・災害経験者等の講演の開催
    ・会合に先立ち、コアメンバーの避難に関する意識を共有するため、学識経験者、市町・県の出前講座の類による講演や災害経験者の体験談等を企画してもよいでしょう。
    (2)会合の空間・時間
    ・お互いの顔を見ながら意見交換しやすいように机はロの字に配置しましょう。
    ・会議の時間は2時間程度に収まるようにしましょう。

 

■地区防災計画について
地区防災計画は、地区住⺠等が、⾃助、共助の精神に基づき、皆で安全な地区をつくるためのツールであり、計画に定める共助の取組は、⾃分が、そして⾃分の親が、⾼齢になっても安⼼して暮らせるための⾃分事の取組でもある。地区の⼤⼈たちが積極的に計画を考え、実施する姿勢は、地区の安全を⾼めることにとどまらず、地区を守ろうという次世代を育む防災教育の効果をも有するものである。R38(略称は301の注記参照)

■地域で防災取組を進める基本的な項目事項
(1) 地区の課題認識(地域特性の把握):ハザードマップ・被害想定、地区の所在市町内の位置づけの検討も有効。他に、
*国勢調査(人口の将来推計は厚労省)、気象データ、市町(地域)史の災害履歴
*国土地理院地図の地形の来歴のわかるもの:土地条件図(沿岸から10km程度)・治水地形分類図(県内主要河川周辺
*県の自主防災組織活動実態調査(最新はH28.11)    といったものも参照可能。
(2) 方針・目標設定:今後継続していく取組の動機づけ(きっかけ)との観点あり。避難計画だけでなく総合的に展開することもできれば一考。
*内閣府の参考物には、「災害に『も』強いまちづくり」「地域コミュニティを維持するためのプロセス」ともあり。
(3) 取組地区の選定:組織体制のしっかりしている小学校区程度の協議会単位の規模もあり(役割分担を工夫)。大きな単位での講演会と小さな単位でのWSの組み合わせも有効。
(4) 取組体制の構築:役員異動の影響を抑制(「充て職」でない扱い等)できれば最善。
*多くの住民の関りが重要なのでWS非参加者の意見の反映。活動状況情報提供。訓練。
(5) 市町内促進体制:できるだけ市町内で促進体制を構築し、地区を支援。
*地区防災計画素案に対する審査会・チェックシート・必須事項の明示等。

■その他
なかなかイメージがわかないという場合は取組例の紹介や成果物の提示も効果的です。
参考:内閣府(防災担当)R2.3『地区防災計画の素案作成支援ガイド
住民同士で声を掛け合い、早期避難(長沼地区(長野県長野市))
●長沼地区は過去に度々水害に見舞われており、住民が主体となって防災訓練や防災マップ作り、地区防災計画づくりにも取り組んでいた。
●令和元年東日本台風の際は、地区内の各区長が集まり高齢者の避難を決定し、地域ごとの名簿をもとに電話と訪問により避難の呼びかけを徹底した。
●長沼地区津野では、足腰の弱い高齢者ごとに担当を決めて誘導する仕組みが活き、避難行動要支援者を避難させることができた。

102 企画(検討)

今の取組も参考にして目標と何をするかを考えましょう

1. 地区での取組の流れ:企画→まち歩き→課題抽出・解決策検討→訓練→検証・まとめ

地区ではワークショップ(WS)という検討の場を設けます。上の流れに対し、住民向けに3回、コアメンバー向けに2回実施することを「標準型」としています。地区の状況に応じた手順で進めることができるよう、「個人の取組」を地区で学ぶなど他の類型もあります。

2. 取組の流れの細分
102 地区での取組内容の企画:今の取組も参考にして目標と何をするかを考えましょう
キックオフ講演会など:知らないことを減らして、「その気」になりましょう
201 まち歩き(歩く) 202 まち歩き(作図):ふだん見慣れているまちを「防災の目」で見て、見たことを話し合いながら図にしましょう
301 知ること=知識と避難の考え方の枠組み付与:基礎知識を知ったうえで、時々刻々と変わる情報を得て、避難できるようにしておきましょう
401 課題の抽出と解決策の検討:避難で心配なことやどうすればよいかを話し合います
501 訓練内容の企画:話し合ったことを試せるような訓練を考えます(メニューを追加)
601 訓練実施:できる範囲で多くの方が参加して、さあスタート
701 結果の検証:できたこと/できなかったことを確認して「次」を考えます
801 地区のルールなど:できるだけ要支援者対応も含めた地区の行動を考えます
(災害の時間の流れで考えるのがよさそうです)
802 素案のとりまとめ:地区防災計画の素案としてまとめられたら完璧です

3. 作成手順等類型
地区の計画のための手順としては、2 取組の流れの細分を組み合わせ形で次の類型を想定し、地区の状況に応じ選べるようにしています。(〇数字は住民向けWSの回数)

標準型③:1回目 201301。宿題として個人の計画の作成。
2回目 401501
3回目 601701。可能なら801も含める。
簡易型①:全体的に小ぶりにしたもの。訓練による検証は後年度
訓練主軸型②:訓練を主に位置づけた取組
月例会利用型⑥:月例の会合等で30分*複数回の取組

4. 事前のコアメンバーによる企画会議(様式0105)
地区の状況の共有/活動内容(WS他)/対象地区/取組体制・役割分担/住民への周知方法 などを会議の場で確認・検討します。

 

表 Myまっぷラン+(プラス)の作成等手順類型

作成等にあたっては、地区の状況に応じた手順で進めることができるよう、以下の表のとおり、個人計画の部分に対応する2類型と、地区計画の4類型の計6類型を考えています。
付表のとおり、それぞれに配慮事項がありますので、ふまえた指導が必要です。

○数字:住民向けWS。○:コアメンバーの検討会
■:個人記入の出題(○数字の場での「出題」を各自で作成。
提出を受け次回までに集約等)
参考
>:説明資料
→:様式
取組の流れ 取り組みの流れの詳細 【部分対応】個人計画(部分)を地区で促進 【全体】地区計画 >001
>002
→005〜008
My全体型 My部分型 標準型 簡易型 訓練主軸型 月例会利用型
個人計画検証まで 個人計画入口まで 標準版候補 全体的に小ぶりにしたもの 訓練を主に位置づけた取組 月例の会合等で30分*複数回の取組
企画 ・地区での取組内容の企画:
今の取組も参考にして目標と何をするかを考えます
・キックオフ講演会など:
知らないことを減らして、「その気」になりましょう
>101
>102
→105~108
まち歩き ・まち歩き
ふだん見慣れているまちを「防災の目」で見ます
見たことを話し合いながら図にします

■個人記入の出題

■個人記入の出題
・事前に地図配付、出題
・各自で歩く
・事前に地図配付、出題
・各自で歩く
・事前に地図配付、出題
・各自で歩く
①集約
>201・202
→203~207
課題の抽出・解決策の検討 (キックオフ講演会の内容の情報共有)

■個人記入の出題


注意箇所情報集約含む■個人記入の出題

注意箇所情報集約含む■個人記入の出題

■個人記入の出題
>301
>302~309
→310~312
・課題の抽出と解決策の検討:
避難で心配なことやどうすればよいかを話し合います
>401
・訓練内容の企画:
話し合ったことを試せるような訓練を考えます(メニューを追加します)
>501
訓練
(解決策の検討つづき)
・訓練実施:
できる範囲で多くの方が参加して、さあスタート
訓練による検証は後年度
月例会外で実施
>601
・結果の検証:
できたこと/できなかったことを確認して「次」を考えます
*下欄の*を参照
必要に応じた内容見直し
>701
・地区のルールなど:
できるだけ要支援者対応も含めた地区の行動を考えます(災害の時間の流れで考えるのがよさそうです)
>801
>802
→803~810
検証・まとめ 次のようなWS類型(地区分)を想定しています(詳細別記)
*地区ルール
*自主防班別タイムライン
*課題全般
・素案のとりまとめ:
地区防災計画の素案としてまとめられたら完璧です

 

付表 作成等手順類型のあらまし
型 数字は、住民向けWS回数 あらまし 配慮事項と次へのつなげ方
【全体】地区計画 標準型 ・Myまっぷランと同じ住民向け3回(+コアメンバー2回)のWSで、個人計画から地区計画の作成までをする。
・市町担当者の感覚的には3回のWSを受け入れられるのは、全地区の3割程度と推察される。
・作成した達成感(燃え尽き感?)で終わらせず、継続活動を年間行事に組み込み、PDCAを回していく。
簡易型 ・負担感抑制を求める市町意見も参照し、全体的に小ぶりにして、PDCAの環に引き込むことを企図する。
・上欄2点目同様に1回のWSなら、全地区の7割以上は受け入れ可能と推察される。
・次年度以降の年次計画で、訓練による検証や地区のルール検討等を組み込む。
訓練主軸型 ・計画がなくても訓練をしているという現状を鑑み、訓練を軸に事前・事後のWSを通じ、計画の概念を呼び込むことを企図する。 ・訓練で取り扱いづらい計画の部分に配慮する。
月例会利用型 月例の会合を実施している地区もあることから、その機会を活用し、30分程度*複数回(上表では6回)のWSで取り組む。 ・役員の会合の場合、広く地区住民を巻き込む工夫をする。
【部分対応】個人計画(部分)を地区で促進 My全体型 個人計画を地区で支援してじっくり練り上げる。 次の展開へ誘導する。(地区計画)
My部分型 個人計画の入り口部分を地区で支援する。 次の展開へ誘導する。(個人計画更新から地区計画)

 

■様式類
・様式105 事前企画会議 事項書(例)(WORD|PDF
・様式106 WS説明資料(標準型)(WORD|PDF
・様式106-2 WS説明資料(取組例)(PDF
・様式107 住民向けアンケート(例)(WORD|PDF
・様式108 住民向け取組ちらし(例)(WORD|PDF

201 まち歩き(歩く) 202 まち歩き(作図)

ふだん見慣れているまちを「防災の目」で見て、見たことを話し合いながら図にしましょう

地図を使って、参加者のグループごとに「まち」の構造を把握し、避難場所の候補と避難経路を話し合います。避難場所の候補までの経路をまち歩きで見て、危険な場所、役に立つ場所等を把握します。
・まち歩き結果を防災マップにまとめ、気づいたことや課題を話し合い、記録します。
・防災マップに記入する項目

項  目 内  容
「まち」の構造の把握 道路、鉄道、河川・水路等
ハザードの把握 各種ハザードマップ
避難場所の選定 災害に応じた場所
危険な場所の抽出 避難時に危険な場所(転倒・落下・倒壊の危険性のあるブロック塀・看板・危険物等)
役に立つ場所の抽出 一時的に避難できる場所(空地・公園等)、消火活動機材のある場所(消火栓・消火器・防火水槽等)、災害時に役に立つ場所(病院・食堂・食料品店・公衆電話等)など
避難経路の選定 避難場所までの経路(時間・安全)、代替の経路

・消火栓に時間をとられがちですが、位置なら市町所管課で調べることもできます。
・作業の参考 作業中の発言にはよい情報がたくさん含まれています。できるだけ書き留めましょう。また、写真撮影をするなら場所・意図がわかるように留意しましょう。

 

■デジタル地図の入出力関係は別記しています。なお、次の作業手順では入力した防災マップを参考に個人の避難経路を入力することになります。
■その他、以下について、三重県H25.3『「Myまっぷラン」を活用した地域における津波避難計画策定の手引き』p13~25を参照してください

(1)事前準備(準備物・会場設営 他)
(2)スケジュール(例)(時間割・役割・まち歩きの実施・防災マップの作成 他
・作成等手順類型上、事前にチェック項目を周知して個人で歩き、WSで集約する形態も想定しています。

■様式類
・様式203 地区・支援者間調整資料(例)(ExcelPDF
・様式205 まち歩き配付物(例)(PowerpointPDF
・様式206 防災マップの例(PDF
・様式207 ブロック塀のちらし(PDF

301 知ること=知識と避難の考え方の枠組付与

基礎知識を知ったうえで、時々刻々と変わる情報を得て、避難できるようにしておきましょう

災害への対応を考える場合、過去の被災をふまえた制度などを知っておけばよりよく行動できます。

知ってそれを行動につなげるには次の3つの段階があります。302以下で各項目のイメージ図と補足説明を示しています。

第一段階  基礎的な知識を知ったうえで ;302,303,304
第二段階  時々刻々と変わる情報を得て :306
第三段階  準備し考えておいた避難実行 :305,307,308

MP+では、これらを知ったうえで、平時に個人が避難経路と行動を始めるタイミング(「Myタイムライン」という。)の作成をして災害時に円滑に行動できるようにします。

■資料に基づき説明し、聞き手の行動の変化を促します。正しく伝えるだけでなく、聞き手が納得感を得て行動へとつなげられるようにする、という指導役の腕の見せどころです。無理ない範囲で努めましょう。

■「自らの命は自らが守る」ことについての国の検討会構成員の発言
・災害時に何をすべきかだけでなく、何が起こるのか、もし避難しなければどういった悲惨な状況になるのかを伝えていくことが、住民が主体性をもつ動機づけになる。
・「逃げ遅れたり、孤立しても最終的には救助してもらえる」という甘い認識は捨てるべき である。被害が大きい程、救助が間に合わない場合があること等を理解する必要がある。
・いつ、どこへ、どの経路で避難するのか理解していなければ、円滑な避難行動が出来ずに被災することになりかねない。情報を取得し、それ基づきとるべき行動を認識してもらう必要がある。
・自分/地域なりの避難のタイミング、避難経路、避難場所について、どのような情報で避難するかあらかじめ十分に検討し、決めておく必要がある。また、災害は昼、夜、様々な時間に起こるということを想定して自らの避難行動を考えておく必要がある。H15

■地域における防災力の強化
・誰がどこに情報を伝えるか、救助をするかまでしっかりとした枠組みがあるコミュニティは災害に対応できている。実質的な避難の体制が地域ごとにきちんとできているか、その訓 練が出来ているかが重要である。
・NHKが広島県、岡山県、愛媛県で行った被災地アンケートでは、「消防や警察、近所の人、家族や親族の呼びかけ」をきっかけにして避難した人が 31.8%(防災無線:7.4%、テレビ・ラジオ:4.5%)となっており、直接的な避難の促しが避難行動をとるためには効果的と考えられ、地域における防災力の強化を促進すべきである。
・行政から出ている情報を避難するかしないかという行動に変換できる防災リーダーを地 域ごとに育成することが重要である。 H20

■WS非参加者にも資料を提供し意見を聴くなどもして、計画の作成を促しましょう。
そのための工夫の例(R2.3事例集抜粋)
・【PJ】三重県伊賀市・伊勢市・松阪市 各地区アンケート実施                B-311
アンケート調査によるワークショップ参加者以外からの意見や、地域住民を対象にWSに参加されていない方の意見を収集しました。
・【PJ】三重県伊勢市・松阪市・伊賀市 地区の自主性の尊重                  B-324
ワークショップ不参加者との共有のため、作業プロセスの中の節目や完成後は広報紙等で活動を紹介します。(伊勢市神社地区ぼうさい通信/鵲地区防災計画概要版全戸配布/山田地域防災つうしん)

■ちょっとしたノウハウ
・時間設定:聞き手は30分程度以内で、集中が途切れごそごそと動き出します。小学校の授業時間より短めの設定がよいかもしれません。(標準型では45分間)
・内容 話し手は多く伝えたいのですが、聞き手の心に残ることが必要です。知っている(だろう)ことを確認しながら、その少し上をゆくようにする方法があります。
・「つかみ」「枕」:非日常の災害の話にいきなり入るより、例えば昨夜のニュースの話題から。
・話し手が熱心に頑張るほど、聞き手は自分はしなくてよいと勘違いしてしまうこともあります。
・聞き手の心に響かせる方法のひとつに、いわゆる「地獄絵図」(悲惨な状態)を示すことがあり、衝撃による効果が期待される反面、いたずらに不安感のみを与える、一般的に自分が死ぬことは想定外なので他人事になる おそれがあります。
・「学習」「勉強」という語に否定的なイメージを持つ方もおられます

302~308の図は以下によっています。
*1:三重県他『三重県防災ガイドブック なまず博士からの緊急指令 地震・津波・風水害から身を守ろう!』(最新版はR4.3改訂版となり、引用頁もこれによります。防災みえ.jpのトップページ下「くらしの防災」「▶防災ガイドブック」として掲載予定。以下のリンクは旧版であるR2.3改訂版です)
guidebook_2020.pdf

*2:内閣府資料R2 ハザードマップと一緒に「避難行動判定フロー」を確認しましょう
siryo2.pdf (bousai.go.jp)

・みえ防災・減災アーカイブ
みえ防災・減災アーカイブ (midimic.jp)

300台は以下の災害の報告書から引用をしており、アルファベットと頁番号(スライド番号)を記載。
・R:中央防災会議 防災対策実行会議 令和元年台風19号等による災害からの避難に関するワーキンググループR2,3『令和元年台風 19 号等を踏まえた水害・土砂災害からの避難 のあり方について(報告)』

・RS : 令和元年台⾵第 19 号等を踏まえた 避難情報及び広域避難等に関する サブワーキンググループR2.12『令和元年台⾵第19号等を踏まえた避難情報及び広域避難等のあり⽅について(最終とりまとめ)』
hinan_honbun.pdf (bousai.go.jp)

・H:中央防災会議 防災対策実行会議 平成30年7月豪雨による水害・土砂災害からの避難に関する ワーキンググループH30,12『平成30年7月豪雨を踏まえた水害・土砂災害からの避難のあり方について(報告)』
平成30年7月豪雨を踏まえた水害・土砂災害からの避難のあり方について(報告) (bousai.go.jp)

・HG:内閣府(防災担当)R3.5 『避難情報に関するガイドライン』の関連情報
(スライドを引用。内閣府(防災担当)新たな避難情報について~「避難情報に関するガイドライン」の説明資料~)
避難情報に関するガイドラインの改定(令和3年5月): 防災情報のページ – 内閣府 (bousai.go.jp)

302 ハザードマップの読み方

まち歩きで用いるマップの知識
・洪水浸水想定区域
・土砂災害(特別)警戒区域<もっと詳しく知りたい人向け>
・家屋倒壊等氾濫想定区域
・ハザードマップの想定・想定外
・過去の被災例:みえ防災・減災アーカイブ

*1p29


*2p2

■ハザードマップとは:災害のおそれを示す図(浸水想定区域図・土砂災害警戒区域図等)に避難の確保を図るために必要な事項等(洪水なら、洪水予報等の伝達方法、避難場所その他)を記載した図
災害のおそれを示す図は、以下のような一定の前提条件により作成されています。
・浸水想定区域図(計画規模)の降雨規模は10~100年に1回程度を想定。
・ 同   (想定最大規模)の降雨規模は1000年に1回程度を想定。
・土砂災害警戒区域は、例えば、急傾斜地なら、傾斜度30度以上高さ5m以上の急傾斜地とその上端から10m、下端から高さの2倍の範囲。特別警戒区域は崩壊で建物にかかる力を勘案。(参考:「土砂災害危険箇所」(「土石流危険渓流」「急傾斜地崩壊危険箇所」「地すべり危険箇所」)は平成22年以降非更新)

■ハザードマップと実災害(令和元年台⾵第19号等と最近20年間の比較)
「洪⽔」による犠牲者の7割が洪⽔浸⽔想定区域の範囲内⼜は範囲付近で確認され、最近20年間は同じく4割程度。⼀⽅、⼟砂災害犠牲者は、⼟砂災害危険箇所等の範囲内・付近は4割程度で、最近20年間の「⼟砂」犠牲者全体では9割程度が範囲内・付近である。範囲外で発⽣する場合もあることを注意喚起していくことも重要。R20参照

■住民の認識(令和元年台風19号での 住⺠ウェブアンケート結果)
約半数の⼈が「ハザードマップ等を⾒たことがない」「⾒たことはあるが避難の参考にしていない」。また、ハザードマップ等を認知している場合であっても、ハザードマップ等を⾒ただけでは災害リスクは把握できてもとるべき⾏動がわからない⼈が約3割、災害リスクがわからないと回答した⼈が約2割。何かしらハザードマップ等に課題があると回答した⼈が7割程度。R22,23参照

■想定される災害リスク及びとるべき避難行動の周知徹底
・ハザードマップの周知にあたっては、浸水想定区域等の範囲を伝えるだけではなく、地形情報や過去の土地利用、過去に起こった浸水も参照する等、住民が災害の危険性をイメージできるよう伝えるのがよい。
・ハザードマップがどのような前提条件のもと作成されたのかを周知する。例えば、洪水ハ ザードマップの場合は対象降雨の規模など浸水想定の前提に注意する。
・洪水ハザードマップは、単一河川の浸水想定区域図を基に作成され、近傍の中小河川の浸水リスク等が含まれていない場合があるため、その点に注意する。
・当該地区において参考とすべき水位観測所の水位や土砂災害に関するメッシュ情報等の危険度分布等の情報の入手先と入手方法の提供は、住民自らの判断の支援につながる。
・ハザードマップを活用した避難訓練等の実践的な取組により、実際に行動し、想定される災害リスクや避難行動、避難経路、避難場所等の確認を行う取組を進める。H18参照

■MP+(R4.3時点)には、県管理河川の家屋倒壊等氾濫想定区域は載せていませんので、ご注意ください。

303 気象情報の読み方

・気候変動
・警報や注意報などの防災気象情報<もっと詳しく知りたい人向け>
・危険度分布、氾濫危険情報
土砂災害危険情報 他


*1p27 ・28

*2p4

■防災気象情報と避難情報の一覧表(下表)
■「特別警報」が発表されたら、ただちに命を守る行動をとってください。*1p28

■氾濫関係の情報                    発令の参考 河川の区分

例えば、津市周辺の指定河川は鈴鹿川・雲出川・櫛田川

■指定河川洪水予報                          気象庁HP指定河川洪水予報

■土砂災害関係情報 土砂キキクル(大雨警報(土砂災害)の危険度分布)判定のしくみ       気象庁HP

 土砂災害警戒情報が発表された市町村内で危険度が高まっている詳細な領域は土砂キキクル(大雨警報(土砂災害)の危険度分布)で確認できます。
 土砂キキクルは、土壌雨量指数等の2時間先までの予測値を(右図他の各基準により)5段階で色分けして、土砂災害発生の危険度を分布として表示しています。(HP参照)
https://www.jma.go.jp/jma/kishou/know/bosai/doshakeikai.html#e

304 警戒レベルの読み方

・市町が行動を促す情報を発表

(※「避難勧告」はなくなりました)

・市町からの発表がなくても危険を感じたら自らの判断で早めに避難しましょう


*1p32

*2p3

 

■警戒レベルとは:災害発⽣のおそれの⾼まりに応じ、住⺠がとるべき⾏動を5段階に分け、直感的に理解しやすく住⺠の主体的な⾏動を⽀援するためのものとして設定

R3.5新たな避難情報に関する広報物→
poster_multi.pdf (bousai.go.jp)

レベル3・4の詳細は下のとおり

■警戒レベル相当情報
災害発⽣のおそれの⾼まりに応じた情報を、上述の「⾏動を住⺠に促す情報」(避難情報)と「⾏動をとる際の判断の参考となる情報」とに分け、明確化した(前者は市町長が発令等、後者は気象台等が発表し「警戒レベル相当情報」と呼ぶ)。
令和元年度時点の課題として、警戒レベル相当情報があるのに避難情報が出ないことについて問合せが多く、8割近くの市町村が違いが住⺠に理解されていないことに課題を感じている。また、警戒レベル相当情報の内容の複雑さや、また、⼟砂関係では発表回数に対する⼟砂災害の発⽣数の割合が⾼くない等の課題がある。R30参照

■R3.5 制度改正内容:警戒レベル4の一本化、3,5の名称変更
hinan_gaiyou.pdf (bousai.go.jp)

 

305 準備 行動その1

・住まいの点検を行おう

・日頃から非常用持ち出し品などの

準備をしよう(コロナ対策品も追加)

 


*1p31

*1p13

 

306 情報収集 行動その2

・防災みえ.jp>緊急時お役立ち情報

・前兆現象
(見つけるための外出は一考です)

・安否情報の確認


*1p41・36・32


*1p140

 

■情報収集に応じ、行動を進めていくイメージ              ①平時からの取組に続き・・・
②⾬が降り始めたら、気象庁からの気象情報・予報・注意報・警報に留意し始める。
③⾬が強くなってきたら、気象情報等に加え、都道府県・気象庁からの⼟砂災害警戒情報・メッシュ情報等、市町村からの「行動を住民に促す情報」といった、様々な防災情報を⼊⼿。
④⼟砂災害特別警戒区域をはじめとする災害リスクの⾼い区域に居住する住⺠は、避難準備情報や避難勧告等の⾏政が出す情報(引用注:発令情報名はR3.5に変更)に頼るだけではなく、気象情報・防災情報を活⽤して避難準備を始めておき、⾬が弱い、外が明るい、避難経路が利⽤可能等といった、指定緊急避難場所へと安全に移動するために必要な条件が整っているうちに、⾃ら判断して避難。
⑤機を逸し・・・た場合には、緊急的な待避場所(近隣の堅牢な建物)への移動や屋内における安全確保⾏動(⾃宅の上層階で⼭からできるだけ離れた部屋等への移動)を採る。

(出典:中央防災会議 防災対策実行会議 総合的な土砂災害対策検討ワーキンググループH27,6『総合的な土砂災害対策の推進について(報告)』p47一部引用者で加工。 なお、この報告中p8以降にH26年発生の7つの災害での降水量・発令・災害発生が時系列に整理されており参照できる。     306最後の■)

 

■気象庁キキクル             気象庁ホームページ

■避難⾏動を導き出すのは送り⼿の情報でなく受け⼿側のリテラシー
避難をさせる直接のきっかけは直感的な判断である。受け⼿側に災害情報をきちんと理 解させて、これは災害だ、危ないという判断を⼀発でさせることが⼤事。R21   「リテラシー」:情報を主体的に読み解く力の意

■発信者が考える受け手の課題  R30~H27,28
・警戒レベルや避難情報に関する理解が十分でないこと、多種の情報ととるべき行動の関係が住民に理解されず、防災情報が避難行動に結びついていないこと、避難行動への負担感、過去の被災経験、正常性バイアス等による避難行動の妨げられていること がある。

■水位情報による検討(右図参照)
当該地区において参考とすべき水位観測所の水位や土砂災害に関するメッシュ情報等の危険度分布等の情報の入手先と入手方法の提供は、住民自らの判断の支援につながる。
右図は要配慮者利用施設における避難開始のタイミングの検討例。(内閣府他2省1庁H31.3「要配慮者利用施設における避難に関する計画作成の事例集」501のリンク)
このように行動開始の契機を予め検討することで、下図のような水位情報を避難行動に有効に生かしうる。
(国交省 川の水位情報 https://www.river.go.jp

 

 

■過去の災害での土砂災害発生までの降水量等の変化の例→
(出典 前頁中央囲み部の報告書p9,10)

307 避難行動判定フロー 行動その3

・避難とは「難」を「避」けること

・自宅の場所・建物の構造・避難先(避難場所・指定避難所)から事前に判定し、また、避難の行動とタイミングを考えよう(310へ)

・My避難経路

・Myタイムライン

*2p1

 

■【事前の取組①】「避難行動判定フロー」は「避難の理解⼒向上キャンペーン」の資料として、「⾃らの命は⾃らが守る」意識を国⺠⼀⼈⼀⼈が持ち、災害時に適切な避難⾏動がなされるよう、平時より災害リスクととるべき⾏動について理解しておくことの重要性を指摘し、「『避難』とは『難』を『避』けること、安全な場所にいる⼈は避難場所に⾏く必要がない」「安全な地域にある親戚・知⼈宅等も避難先となり得る」「緊急時に⾝を寄せる避難先は『指定緊急避難場所』であり、災害種別ごとに安全な場所が指定されている。しばらく避難⽣活を送るための避難先は『指定避難所』である」こと等について周知。R24参照

■【事前の取組②(①で必要な場合)】Myタイムライン(日本語では「時間割」。MP+の機能のひとつで下の設問に答えていくとシートが埋まり、自分の行動準備の図表が完成します。紙の場合は309参照)
・設問1 場面を選びます(特別警報級の台風/その他の台風/大雨が長引く/短時間の急な豪雨)
・設問2 避難先の指定(2箇所):早めの行動が望まれますが、「空振り」になりがちです。練習(素振り)と思うことに加え、そうなっても徒労感のない納得できる避難先の設定が望まれます。
・設問3・4 避難開始のタイミング(避難所ごとに):誰が・その時に(警戒レベルに応じ)・所要時間。
・設問5 避難準備・設問6 合計時間:誰が・何を・どうするか。合計は「誰が」ごとの大きい方の時間。
・設問7自治会や近隣住民など地域に対してやること   これら事前の検討に従い災害時に行動します。

■行動のイメージ

 

308避難(移動)のポイント ・ 動けなかったとき

・洪水からの避難(移動)のポイント

あきらめずにできることを少しでも

・近所の頑丈な建物へ退避(承諾を得て)

・家の中なら崖の反対側、1階よりは2階(垂直避難)


*1p33

 

■相対的に安全な⾏動がどのような⾏動であるかは、住居の構造・⽴地、周囲の状況等が個々に異なるため、緊急時においては、市町村は可能な範囲で具体的な⾏動例を⽰しつつも、最終的には住⺠⾃らの判断に委ねざるを得ない。従って、市町村は平時から、住⺠にハザードマップを確認し災害リスクととるべき⾏動を確認するよう促すとともに、警戒レベル5を発令する状況やその際に考えられる⾏動例を住⺠等と共有しておくことが重要である。HS18

 

309 個人の避難計画の作成(ワークショップに参加していない(できなかった)方も含む)

■ここまでの情報(とまち歩き結果)を基に個人の避難計画(連絡先等、避難マップ、Myタイムライン(避難行動判定フローも含む))を作成。デジタルマップを用いない場合の一般的な方法は、資料(301~308分)に加え用紙を配付し書き方を説明する。ワークショップ参加に関わらず避難計画の検討はなされるべきなので、自主防災組織役員等と連携して広く住民に向け作成を促す。

■Myタイムラインの参考事項
三重大学川口研究室の産官学連携のワークショップ(WS)の一部で「マイ・タイムライン」を扱っており、参考事項を以下に示す。(参照元:川口研究室 辻創(R4.2.14未定稿版)『土砂災害が予想される地域でのタイムラインを通じた対応行動の分析-防災ワークショップを通じて-』)
□地区の概要 KH町KM地区73世帯。谷あいの集落で北斜面は土砂災害、南の一部は浸水のおそれあり。
□WSの概要
事前アンケート 10/25配布
①第1回WS 11/19 住民の防災意識の把握/地域における要配慮者情報の把握
②第2回WS 12/15 図上訓練(DIG) /避難行動計画策定①(個人タイムラインの作成)~10/23回収
③第3回WS  1/18要配慮者調査結果報告・要配慮者対策検討/マイ・タイムライン集計結果
④第4回WS(延期) 今後の自主防災活動(タイムラインの設定)まとめ

□マイ・タイムライン作成にあたっての行動の例示  (一部引用者で加工。以下この頁で*部は加筆)
・情報収集 気象情報の収集/天気予報の確認/*必要に応じ水位情報の確認
・準備(*305参照。逃げる用・籠る用)
非常持ち出し品の確認/非常食・防災グッズの確認/生活用水の確保
充電(モバイルバッテリー/携帯電話)
家の周辺の点検/雨戸を閉める/
場所・マップの確認:避難場所/避難経路/ハザードマップ(自宅周辺/避難場所周辺)
*耐久消費財(農機具等)の移動
・コミュニケーション
家族と連絡を取る/知人と連絡を取る/隣近所への声かけ/要支援者への声かけ/
*自主防災組織等の役割の確認/

□回収されたタイムラインのうち避難開始関係情報(回答数36。「警戒レベル1」は「L1」と表記)
・N=36中、L2以前の避難開始は4人(11%)で、L3で12人(33%)、L4で10人(28%) 累計72%
・上について土砂災害(特別)警戒区域内と外(ハザードなし)で見ると
内(N=17)では、    L2以前1人(6%)、 L3で 9人(53%)、 L4で 4人(24%) 累計82%
外(N=8)では、     L2以前0人(0%)、 L3で 2人(25%)、 L4で 3人(38%) 累計63%
*このような現状分析をふまえて、地区の取り決めを検討することが望まれます。

■様式類
・様式309 住⺠向け避難計画作成説明書(DOCX | PDF
・様式311 シートその1(家族の連絡先他を記載) 標準版(DOCX)   下部反転版(DOCX)
・様式312 シートその3 Myタイムライン    縦版・横白黒版(XLSX) 

401 課題の抽出と解決策の検討

避難で心配なことやどうすればよいかを話し合います
○個人計画の集約と課題の抽出 : 非参加者も含めた個人の避難経路を事前に集約した図と参加者のMyタイムライン(WSの中で各自紹介)を題材に、参加者で意見交換します。自分とは異なる考え方がわかり、参考になります。

○避難の際の行動等の話し合い : 個人の計画を作れば全ての課題が解決するわけでなく、地区での避難の課題として例えば避難行動要支援者の避難や自動車による避難等については、地域でどのような方法で対応していくのか、話し合い、意見を引き出します。

作業  地域で共有することを話し合う
●これまでに実施したコアメンバー会議、前回の検討会において、課題として出された事項について、課題の内容、解決方法を話し合います。
●出された意見は、付箋に書いて、模造紙に貼りつけます。出された意見全てを書くようにしましょう。
●答えが出なくても、課題として残しましょう。以下事例。
①避難行動要支援者の避難はどうするか ・誰がどういう方法で避難を支援するのか         ・昼間は人がいない
②自動車による避難は、どうするか ・徒歩が原則となっているが、自動車は認めるのか? ・どのような場合に認めるのか

 

■801の「課題全般」のWSが参照できます。また、課題が多い・深い場合などは、とりあえず、訓練内容の企画に反映させる事項を優先し、訓練後や翌年度以降(計画的に)の検討に委ねる方法もあります。

■意見を引き出す方法例(R2.3事例集。*は別。二つ目は避難計画関係ではない。)
・【PJ】三重県松阪市 DIGを模擬にとどめず結果を計画に反映した事例           B-322
DIG(災害図上訓練)をゲームに留めず、出された意見をまとめて計画に反映させました。
・三重県松阪市 松尾地区の避難所運営検討委員会での事例                     B-312
HUG(避難所運営ゲーム)をゲームに留めず、終了後にじっくり意見交換を行い、その結果を精査してマニュアル・訓練に反映させました。
*自分のことは話しにくくてもロールプレイなら意見が出やすい

■言いっぱなしにならないよう、意見はきっちり記録しましょう。それを整理し、今後に向け蓄積・共有できる枠組を、文字・図として示すことができればよいものと考えています。

501 訓練内容の企画

話し合ったことを試せるような訓練を考えます(既存の訓練メニューにうまく追加)

・Myマップラン+に基づき避難訓練を行うことによって、ワークショップで話し合ったことを検証し、新たな課題を抽出します。

次回の津波避難訓練で行うことを話し合いましょう
避難訓練のときに実施したいこと、
アイデア等を話し合ってください。
 例えば、
 ・避難場所までの所要時間の測定
 ・非常時の持ち出し品のチェック 等

・多くの自主防災組織で訓練は実施しているため、既存の内容とうまく調整しましょう。
・訓練は滞りなく実施することより、滞るかどうか(どこでか)を検証するためのものです。

■訓練の重要性
避難情報等の情報を実際の避難⾏動に活かすためには、情報の受け⼿が実際に⾏動に移すことができるようになる必要があり、そのためには地域における避難訓練が不可⽋である。地域住⺠の避難が進んでいるところでは、防災リーダーが地域の実情を踏まえて計画をつくり、避難訓練を実施しているため、・・・防災リーダーを育成していくことが重要。RS30

■内閣府 H23.3「地域における防災活動のきっかけづくり情報・ヒント集」の取組事例 C-113
取組のきっかけと継続性に着目した全国6つの事例を掲載しており、継続への工夫として、イベント実施の達成感にとどまらず、「『次に何をする必要があるか』を考え、継続への工夫を事前に意識しておくこと」の重要性を強調しています。

■企画の方法例 (R2.3事例集抜粋)
・神奈川県茅ケ崎市 訓練による検証方法の事例               C-124
茅ヶ崎市 平成26年度第三回自主防災組織活動マニュアル研修会資料では、訓練による検証について以下のように記載されています。

活動マニュアルを基に実践的・現実的な訓練を企画しましょう。企画手順:
STEP1 訓練で検証したい活動内容を決める
STEP2 マニュアルに沿って、行動手順を書き出し『訓練実施要領』を作成する
STEP3 訓練の流れを参加者に説明して、マニュアルの行動手順を理解してもらう
STEP4 訓練を実施して、反省会を開催(訓練は失敗することが大事、振り返ることはもっと大事)
STEP5 訓練の反省をもとに、マニュアルを見直す
STEP6 訓練が終わったら、『防災だより』など回覧・広報誌で地域に防災活動を発信しPRしましょう

■要配慮者利用施設の避難の実効性に関して、国交省が各種情報をまとめています。
自衛水防(企業防災)の一環で「要配慮者利用施設の浸水対策」を挙げています。
自衛水防(企業防災)について(要配慮者利用施設の浸水対策) – 国土交通省 (mlit.go.jp)
特に、講習会プロジェクト「活用ツール➈避難計画チェックリスト」では、「大切にしてほしい心構え」として次の3つを掲げており、参照できる部分もあります。目標に関しては評価項目も検討しましょう。
□目標を定めて(目的を意識して)自分達なりに訓練すること
□災害が起きそうなときの状況をイメージしてみること
□できることから始めること

601 訓練実施

できる範囲で多くの方が参加して、さあスタート

○避難訓練の実施時期

・最初は多くの人が参加しやすい時期(休日の午前中等)に行うことが望ましいですが、季節や時間によって非常持ち出し品や服装等、準備するものが異なることから、季節や時間(朝、昼間、夜間等)を変えた避難訓練を継続的に実施することも必要です。

〇避難訓練の事前にアンケート調査票を配布しておき(避難訓練の告知チラシと合わせて配布等)して、結果の検証に活用します。→
■多くの方の参加のための工夫例(R2.3事例集抜粋)

・三重県南伊勢町・度会町・亀山市 訓練参加者の拡大の事例 C-122
訓練に避難行動要支援者の参加を図っています。また、南伊勢町は訓練で地区独自の名簿も活用しています。

・【PJ】三重県松阪市・伊勢市 子育て世代の参加のしかけの事例 C-123
①PJ松阪市 土曜授業(グッズ制作・防災体験等)と合同で防災訓練
②PJ伊勢市 土曜授業と連携。5年生キャンプに防災要素を入れ込み
上のような保護者が参加できる小学校行事と防災訓練を合わせ行うことで、多忙な子育て世代でも防災訓練に参加しやすくなります。

■訓練の事例 →

 

701 結果の検証

できたこと/できなかったことを確認して「次」を考えます

○避難訓練の後のワークショップ
・避難訓練は、終了後に自由解散となることが多いですが、これでは避難訓練を実施した効果や課題を検証できません。避難訓練を実施した後にワークショップで課題等を話し合えば、非常に効果があります。
・ワークショップでは、避難時間の目標を達成したかどうか、避難訓練でできたこと・できなかったこと等、My計画の実行性の検証や地域における課題を浮かび上がらせることが必要です。
・事前に配布したアンケート調査票を活用し、避難訓練実施後のワークショップで、避難目標時間の達成状況、防災マップに記載した内容の検証、避難訓練でできたこと・できなかったこと等について、記入してもらいます。

○課題に対する取組の方向性の検討
・防災マップに落とし込んだ内容や、第3回で課題に挙がった事項を、今後どのようにして取り組んでいくのか話し合います。
・地域における避難の目標と今後検討していく内容等を整理し、地域の避難計画のもとになる内容を整理します。

本日の津波避難訓練の成果、課題をみなさんで話し合いましょう。

話し合ったことを試せるような訓練を考えます(既存の訓練メニューにうまく追加)
できる範囲で多くの方が参加して、さあスタート
できたこと/できなかったことを確認して「次」を考えます
①津波避難訓練の振り返り本日の津波避難訓練をふりかえって、 ・避難時間はどれくらいかかりましたか。 ・目標通りでしたか
津波避難訓練でできたこと、できなかったことはありますか。
⇒付箋に書いて、模造紙に貼り付け

②避難場所、避難経路の再確認
図面の内容以外に、追加したいことがありますか(危険個所、改善したほうがよいこと、提案など)
⇒付箋に書いて、大きな図面に貼り付け

■訓練による結果の検証例(R2.3事例集。2つめは避難計画関係でない)
・【PJ】三重県松阪市 津波避難計画による事例          1b-431
訓練ではワークショップで選定した経路や避難先の検証を行い、地区が独自に協定を結んだ避難先の解錠の方法や収容先の確認も行いました。訓練の振り返りでは「避難経路も見直してよかった」との意見も得られました。

・三重県松阪市 松尾地区の訓練による改善例の事例          3c-215
平成28年度訓練後には、簡易受付表の導入、食料配布動線の改善、初動期開設ボックス(必要な道具類を箱にとりまとめ)を実施しました。平成29年度訓練後には、渡り廊下スロープ支障物の移動、受付前段差の解消を実施しました。

801 WS(地区分)

できるだけ要支援者対応も含めた地区の行動を考えましょう

この手順の課題に応じた3類型のWSの概要(主に指導役向け情報)を表形式でお示しします。

WS参加者は、102の作成等手順類型表では、訓練(住民向けのWS)/まとめ(コアメンバーの検討会) の両欄にありますが、以下のような状況への対応としてこのようにしています。

・アンケートや個人計画の集約、個人計画検証の避難訓練の実施等で地区住民の意見が把握できている場合は地区役員等による実施。(MPでは第5回WSがそのような位置づけです)

・地区としての目標設定やルール等基礎的な部分で地区住民の意向を知る必要がある場合(その部分)は、地区住民の参加。計画とする部分については、必要に応じコアメンバーで検討します。

WS類型(地区分)別の進行手順
WS類型
(地区分)
地区ルール 自主防班別タイムライン 課題全般
引用・参照 参照:*1 引用:*2 水参48~ 引用:*3様式8(一部加工)
これに先立つ取組 地区で個人計画のWSを実施、または、避難行動判定フロー、Myタイムラインの内容を参加者が理解していること 規約等班別役割分担があることが望ましい。なければ試行とし、次回役割分担整理後再度実施としたい。  
指導要領

・各類型での企画者の意図・参加者に体感してほしいこと等

ABは各々独立(複合可能)
A (比較的容易)個人行動を起点として促す地区行動を考えるB 地区行動の目標(スローガン。例ひとりも取り残さない)設定を促し、参加者の動機づけ維持・向上
※可能なら右欄※もあわせて検討する(「誰が」において)
班間業務の事前の総合調整
orその前段の総合調整の必要性の認識
orさらにその前段の班業務を時系列で整理しておくことの必要性の認識※(可能なら)特に風水害・土砂災害では、「難」を「避ける」ための個人の事前行動と地区の行動とのすりあわせも検討。
・個人計画の検討過程で地区の課題の表出が(少)ない場合に実施。基本的には課題の抽出と対策の検討。
・具体化の工夫としては、地区防災計画に規定すべき「災害時に、誰が、何を、どこで、どれだけ、どのように すべきか」と特に避難では「いつ/どこへ(避難先)」のいくつかを対策に含められればよい。
・追加作業として対策の優先順位の検討も追加できればよい。
提供物(
スライド内容)・WS全体
A 個人を支え・促す地区の活動
先例の個人タイムラインの各行動(orアンケートを実施し困りごと等から抽出)に対し支援策を考えます。B 地区の活動目標と行動
地区避難の目標達成のためのルールを決めます。
どの段階でどのような体制で地区住民の支援を行うか明確化するため検討し、時系列表に書き込みます。
 ・平常時  
 ・災害発生前
 ・避難時期
 ・災害発生後 なお、地区の取組状況に応じ部分的な検討もありえます。
基本作業:
避難の課題と解決策を検討します。追加作業:
平時のいつ取り組むか(*1)
ワークショップで、その後取り組みの優先順位を決める
・作業1 Aの場合
・個人の行動に対する地区の支援策・ルールを、例えば、個人行動の分類区分(情報/物品/人/行動)ごとに検討していきます。
・台風等の接近前から時間の進行に沿って4つの小作業に分け、警戒レベル2,3,4と上げる条件付与を行います。それに対する自主防災組織の班別役割を検討し、表に落とし込んでいきます。
・作成済の防災マップを見て、必要に応じ、距離・時間なども合わせ検討します。※自主防災組織の班長が未定なら、役員の方がその役目を担います。(現実的にもそうなる)
自治会の規模によっては2つの班長を1人が担うことや、また、避難行動に関わらない班は、他の班を手伝うなど現実にどうするかで参加を決める考えもあります。※班の役割が未定なら、災害時の役割を想像して拡げましょう。
基本作業
できていないこと・不安なことに対して、今後、どうしていったらよいのか、話し合いましょう。(*3引用者で加工)
①自分で準備することは?
②地区で準備することは? 例えば、

・避難訓練を定期的に行う。時間帯を変えて実施。
・避難行動要支援者の避難方法、自動車による避難の体制をまとめる
③避難時の行動は? 例えば、
・行動の起点の情報入手・共有方法
・近所に声を掛け合って避難
・安否確認の方法
④今後、どのような取組をすればよいと思いますか?
・作業2 Bの場合
・目標設定(別の機会に意見交換がなされているとよい)
・目標達成に寄与する取組を抽出し、「何を」「いつまでに」「誰が」「どのように」等の項目を検討していきます。(Aを検討材料にすることも可)
追加作業
(平時)のいつ取り組むか(*1)
今後取り組むべき(できる)ことについて、
・今できること
・1,2年でできそうなこと
・3~5年以上かかること
の3つの視点で話し合い、優先順位をつけて、今後の活動テーマを提案
・作業3 Bの詳細検討として、例えば、誰かが誰かを支援する際に、支援する方が自身の家族避難に同行することや、支援される方が早期に遠地避難を行うこと等について考えます。 上の※は未定次項がある場合であり、表には落とし込めないおそれもあります。その場合は取るべき行動と現状のギャップを見出し、その埋め方を考えます。  
その他     ・地図を前に検討すれば気づきも得られやすい。
WS成果物のイメージ ・縦軸:時間(警戒レベル(相当))
・横軸:私たちはどのように?(要支援者含)/どこに避難?(下図)

・別の横軸(*6):
スイッチの確認{誰が/どのように確認するのか/どうするか}
行動(声かけ・避難誘導・避難所
解錠){誰が/何をする}
・横軸:時間(警戒レベル(相当))
・縦軸:自主防班分け
・表頭:課題/解決策
・表側:検討したい課題を挙げる追加作業も含めた成果物イメージ

 

避難計画への関心を高めるためのWSの例  令和3年度地区防災計画作成促進事業(状況予測型図上訓練)

■日時:R3.10.10 日 13時~15時
■場所:熊野市紀和町上川(じょうせん)生活改善センター 熊野市紀和町和気709
熊野市紀和町 小船・楊枝・和気 3地区役員等15名(3地区世帯数の約1/4)
■目的 避難計画への関心を向上・MP+の地区取組促進のため、2時間で簡易にWSを体験する場を設ける。
■概要(三重大学工学研究科 川口准教授による進行)
・座学0.5時間:気象の傾向、ハザードマップ、避難関係の情報入手
・状況予測型図上訓練1.5時間:台風発生から最接近時、通過後の想定で実施。
主に個人としての備え・避難を考えていただく。
(簡易な体験のためのWSのため、基本的に、地区で何をするとの展開はなし)
各状況での共通の質問:Q1 どこで何をしているか
Q2 何をするか。

■図上訓練分の詳細
・最小限の情報を提供する状況予測型の図上訓練。防災力は想像力。目的・進行は3つの部分で。
①地理の確認(自然人文) > ②降雨による被害状況をイメージ > ③みなさんで考え意見交換
(状況は付与というより予測)
・アイスブレイク
・①地理の確認:白図に着色等  山・平地・河川・水路/線状:河川・道路(・鉄道)/
施設:標準的には役所・学校幼稚園・交番消防・医療・防災倉庫
・②被害が生じそうな箇所を赤で記入。 利点/難点 自宅の危険度(避難場所・経路)
・③各種状況下での行動                     正誤ではない ↓

時刻 最小限の付与 発言等
1 16時 台風発生。週末にかけて来そう みなさんそれなりに対応をとる
2 17時 前線刺激。雨しとしと。降水量200mm級見込み・小型・暴風域10km・強風域35km・土曜夜に最接近
3  7時 940hP中心付近風速25m/s超。断続的降雨により累積雨量80mm。

24時に紀伊半島へ上陸見込み

注意報
4 12時 30mm:バケツをひっくり返したような レベル3発令(早めの発令) 警報 在宅のまま
5 17時 20mm少し弱まる 赤黄部レベル4避難指示 土砂災害警戒情報 数名は避難行動
22時 暴風も
23時 停電
0時半 警報解除。土砂は継続
反省・検討(スライド)
ハザ―ドマップをどのタイミングで見ましたか
避難の準備は適切な時にしましたか避難は適切な時にしましたか(難を避ける)
避難に必要な物はきちんと持ち出しましたか
家族との連絡はきちんと取りましたか(発信)
近所の方の安否を気遣いましたか
自主防班別タイムラインのWSの例(簡易試行)  令和2年度MP+による避難計画査定支援事業

■日時:R3.3.4 木 13時半~15時半
■場所:亀山市川崎地区コミュニティセンター
亀山市川崎地区森自治会6人、太田自治会3人、その他自治会長・役員10人
■目的 自主防災組織の班別のタイムライン検討のきっかけとする。

■内容:地震時に生じる事態に自主防災組織の各班でどう動くかについて、以下の表の災害時の時間の流れに沿って
誰が/何を/どこで/どれだけ/どのように/いつ・いつまでに という切り口で(今回は「誰が・何を」を確認しながら、「どれだけ」も意識)整理し、課題と解決策を出す。
次に、解決策を優先順位(今できること/1,2年で/3~5年以上)で分け、班間の活動を調整して(現場は時間不足)、1枚の紙にまとめ(10分)、各班3分をめどに発表。

①(5分)(作成済防災マップのふりかえり) 地図による地域の特徴の確認
②-1(5分)状況付与~直後の個人の行動    ※今回のWSでは一時避難場所へ「飛び」ますが、班として組織的な対応をとる前の次欄の行動も課題のひとつ。
②-2(20分)一時避難場所(組織的なチェック前に関わらず動く事態への対応)
・被害と安否の確認:(情報班)何を
・救助・搬送:何人を何人で/資機材/どこへどうやって
・消火:初期消火はどうやって/消防水利
③-1(20分)避難一般
・どこ:一時避難場所へ(から)/狭あい・危険物・ハザードなど行き詰まるおそれ
・どれだけ:一時避難場所への集合人数狭あい・危険物・ハザード
③-2(20分)避難支援(組織的なチェックにより判明する「否」への対応)
・避難支援:何人を何人で/資機材/どこへどうやって
・安否確認:何により/「否」の方に対する行動・・・

 

■参加者の声:
・自主防災会員(自治会員)が少ないため、実災害時に班別行動ができるのか検討していきたい。
・定期的に防災倉庫の点検、応急救護訓練、防災訓練等を実施しなければと思った。

 

802 素案のとりまとめ

地区防災計画の素案としてまとめられたら完璧です

地区防災計画の素案としてとりまとめます。先行例があるので参考にできます。

取組の着手時点に目を通しておくことで、一つのゴールともいえる地区防災計画素案をイメージすることができ、また、WSのまとめ作業の効率化につながる可能性があります。

1 県内の取組
(1)津市:香良洲地区(津波)/丹生俣地区(土砂災害):各々A4版1頁にまとめています。

(2)松阪市:西黒部地区(地震・津波避難):鵲地区(地震・津波避難)/港地区(地震・津波)/大石地区(風水害):各々十数頁にまとめています。
地区防災計画 – 松阪市ホームページ (city.matsusaka.mie.jp)

2 全国の取組

内閣府 防災情報のページ 「みんなでつくる地区防災計画」
http://www.bousai.go.jp/kyoiku/chikubousai/index.html

その中の「地区防災計画ライブラリ」では、都道府県別(全国9ブロック)、テーマ別、ストーリー別に検索できるようになっており、多数の先例が確認できます。(R3.3.11確認)
http://www.bousai.go.jp/kyoiku/chikubousai/chikubo/chikubo/index.html

同じく、「平成26年度モデル地区の取組」では、比較的初期に取り組まれた15地区の作成過程が各数頁にまとまられています(H27,28年度は一覧のみ。R3.3.11確認)
みんなでつくる地区防災計画 : 防災情報のページ – 内閣府 (bousai.go.jp)

■ 様式類

様式803 WS(地区分)企画例

様式804 WS 地区ルール用(内閣府 災害・避難カード(タイムライン)1)

様式805 WS 地区ルール用(和歌山県 1.避難のタイミング表)

様式806 WS 自主防班別タイムライン用(和歌山県 6.自主防災組織の支援体制(タイムライン))

様式806-2 WS 自主防班別タイムラインWS例(簡易試行)の配付物

様式807 WS 課題全般用

様式808 計画書例(Myまっぷラン様式11相当)

様式809 計画書例(4段階)

様式810 計画書例(松阪市大石地区参照物)

参照 内閣府(防災担当)H26.3『地区防災計画ガイドライン~地域防災力の向上と地域コミュニティの活性化に向けて~』

引用

*1内閣府(防災担当)H29年度改訂版『災害・避難カード事例集』
http://www.bousai.go.jp/oukyu/hinankankoku/saigai_jireisyu.html

*2和歌山県H29.3『避難対策ワークショップ運営の手引き(水害編)(土砂災害編)』
https://www.pref.wakayama.lg.jp/prefg/011400/workshop.html

*3三重県H26.3 『津波避難に関する三重県モデル事業実施報告書』他に非明示引用あり
https://www.pref.mie.lg.jp/D1BOUSAI/77959007994.htm

*4牛山素行他「課題探索型地域防災ワークショップの試行

*5岐阜県H31.3『災害・避難カードを作成する取組みの手引き~一人ひとりの避難手順を考えるために~』
https://www.pref.gifu.lg.jp/page/22589.html

*6京都府H31.3『水害避難行動タイムライン作成支援モデル事業』
H30.5 水害等避難行動タイムライン作成指針
http://www.pref.kyoto.jp/kikikanri/suigaihinan-timeline.html

「R2.3事例集」とあるのは、三重県、みえ防災・減災センターR2.3『地域防災課題解決プロジェクト報告書 「共助」の取組促進の手引き~地域主体の防災対策の強化をめざして~』